鈴木エイトが語る 「統一教会との格闘、22年」


5月18日に、多摩市の公民館ベルブホールにて、鈴木エイトさんの講演会を開催しました。
多摩市での統一教会問題にいち早く注目された鈴木エイトさんが活発に取材されたことで、マスメディア各社による多摩市の問題の報道が実現しました。
当会は2年前の5月28日の鈴木エイトさん講演会開催をもって正式に発足し、署名活動を開始しました。多摩市に留まらず全国から署名に賛同いただいて目標の55,000筆を超えられたのも、鈴木エイトさんによるご紹介が大きな力になった、などなど、当会にとってまさに『生みの親』のひとりともいえる存在です。
今回のご講演内容について、当会賛同人のひとり、多摩市在住のK.Yさんによる詳細なレポートを以下にご紹介します。
********************
5月18日、多摩市永山のベルブホールで鈴木エイトさんの講演を聴いた。2年前にもあったのだが、行きそびれていた。予約の出足が悪く心配していたが、満席に近い入りでほっとした。阿部市長も駆けつけ挨拶をした。
講演では、エイトさんの最新刊『統一教会との格闘、22年』(角川新書)に基づいて、これまでの統一教会との闘いの全貌を明らかにした。最初に統一教会の偽装勧誘からの救出活動の現場がスクリーンに映し出される。勧誘者に統一教会だと認めさせるまで質問を繰り返す。そのうちエイトさんの「手配書」が全国の組織に回る。これにエイトさんは抗議する。「写真がイケてないから差し替えろ」(エッ、そこかよ!)。ユーモアを忘れないのだ。
選挙で統一教会の応援を受ける政治家にも迫る。選挙カーを追跡する。写真やビデオを撮る。政治家の映った様々な写真を分析して、その場所が教会の建物内だと突き止める。これまで取材の際に警察を呼ばれたり、暴力を振るわれたりすることもあった。まさに身体を張った取材をしてきたのだ。
3月に解散命令が出された後の統一教会の動きも解説する。清算後の残余財産は、すでに関連宗教法人に移す手はずを整えていた。教団が多摩市で購入した土地はどうなるのか。財産の散逸を防ぐ方法はあるのか。都議選や参院選での動きはどうか。政界との関係はどうなるのか。
エイトさんは早口で、ときにユーモアを交えながら、統一教会の「現在地」を様々な観点から語ってくれた。そして多摩市の取り組みはピカイチだとお墨付きをくれた。解散命令が出ても、今後の裁判の行方、被害者の救済、多摩市にある土地の将来(修練施設の建設はどうなるか)など問題はまだ終わらない。今後とも監視を続け、統一教会の違法な勧誘などの活動を許さない取り組みが必要だ。
********************
なお、「高裁による解散命令確定後に多摩市の土地はどうなるのか?」については、現行の宗教法人法では、解散命令に伴う教団財産の清算手続きの詳細は定まっていません。また清算人の権限も曖昧なままで、解散の場合は教団資産を帯広に本部がある「天地正教」に移転するとした2009年の統一教会内部決定に法的正当性があるのかなど、法整備を急ぐ必要があることが指摘されています。
統一教会の現有資産は1,000億以上で、そのうち多摩市の土地を含む不動産資産は約300億円とのことです。現在、被害者弁護団による賠償請求金は約58億円にとどまり、今後請求が増えても100億円以下と予想されていて、不動産資産はそっくり賠償金支払い後の残余資産となってしまいます。
あまりに未整備な解散後の『財産清算手続き』を整備するため、今月になって文化庁が有識者による検討会を立ち上げ、秋頃に『指針』を策定するとされています。漏れの無い被害者救済とともに、天地正教へ看板を付け替えただけで、多摩市の土地に教団の施設が建設されることにならないよう、引き続き法整備の実現を求めていく必要があることがハッキリと認識された今回の講演でした。